中国人と日本人のカップルです。結婚公証書が必要といわれたんですけど、結婚公証書って何ですか?
それじゃあ、僕が中国の官憲が発行する結婚公証書について解説するね。
ご結婚後、日本でビザや帰化の申請をする際には「公証書」の提出が必要になることがあります。
この公証書とは一体なんでしょうか?
公証書とは、公証処(公証所)という中国の役所が発行してくれる文書です。
以下、日本人と中国人とのご結婚手続き・配偶者ビザ申請のプロ、アルファサポート行政書士事務所が「結婚公証書」について詳しく解説します!
中国の公証処は、日本の公証役場と同様の機能を果たしています。
すなわち公証処は、中国人の身分関係について、他の方法では証明できない親族関係などを、当事者の立証に基づいて証明してくれる機関です。
公証処は機能としては日本の公証役場と同じでが、日本人は身分関係についてはほとんどすべてを戸籍によって証明できますので、身分関係を公証する必要は通常はありません。
しかし中国では、例えばこのホームページのトップページにてご説明している「戸口簿」が一見すると戸籍の代替物のように見えるのですが、「戸口簿」には、戸主と自分との関係しか記載されないため、戸主が父親である場合、母親と自分との関係を戸口簿で直接的に証明することはできないことになります。
中国人同士あるいは中国人と日本人との結婚は、婚姻登記所が交付する「結婚証」という赤い手帳で立証することができます。
一方、中国人の家族関係を証明したり、親子関係を証明したりする方法は、公証書によることになります。それぞれ、「親族関係公証書」「親子関係公証書」などと呼ばれます。
重要なポイントは、これが「当事者の立証に基づいている」という点です。当事者の立証が無ければ、これらの関係を証明する手段がないこととなります(裁判の判決所を除く)。
アルファサポート行政書士事務所では多くの中国人の帰化申請をお手伝いしていますが、帰化申請などの際に、中国での結婚公証書を求められることが多くあります。
しかしながら、公証処が発行する結婚公証書は、当事者が持参する「結婚証」に基づいて作成されますので、わざわざ結婚公証書を確認しなくても、「結婚証」を確認すれば、夫婦であること自体は確認がとれます。あえて、結婚公証書を要求されるときには、その結婚証が正規のものであることについて、中国の官憲の眼(チェック)が一度入っていることに重きを置かれているものと解釈されます。
中国人が日本の在留資格「家族滞在」を申請する場合に、出生公証書などが必要になる場合もありますが、これも同じです。
中国人の場合、戸口簿や居民身分証に、当人の生年月日や出生地が記載され、これを用いて生年月日等を証明することはできますが、出生証明書(いわゆるBirth Certificate)には通常、実父と実母の記載が要求されますので、それらの要求を満たす書面を用意するために公証処が利用されているのです。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ